この記事では、デジタルイラストに必要な機材それぞれのメリットデメリットとおすすめアプリについて、人よりもかなり不器用と思われるわたし目線で解説します。
わたしがデジタルでイラストを描き始めたころは、パソコン+ペンタブレット(板タブまたは液タブ)の方法しかありませんでした。
液タブ高かったから、板タブしか買えなかった悲しい思い出
今はデジタルイラストを描くにもたくさんの選択肢があって、かえって困ってしまいますよね。
どの機材から始めたらいいのか、参考になると嬉しいです。
デジタルでイラストを描くために必要な機材4パターン
デジタルで絵を描くにあたって、必要となる機材は主に以下の4パターンです。
- パソコン+液晶タブレット(高額&2万円台~)
- パソコン+板タブレット(高額&6千円位~)
- タブレット端末(iPadやAndroid)+スタイラスペン(高額&100円~)
- スマートフォン+スタイラスペン(今使っているものでもOK&100円~)
上記4パターンのうち、わたしは液晶タブレット以外は全て使ったことがあります。
アナログと違って初期費用はかかりますが、一度機材をそろえてしまえば費用がかからないので、ドケチで画材の消費をケチりがちなわたしには、デジタルはとてもあっていました。
- 紙+鉛筆、アナログ画材(機材じゃないけど〇十年)
- デスクトップPC+板タブレット(7~8年位?)
- iPad Pro(12.9インチ/第4世代)+Apple Pencil(第2世代)(4年位?現在も便利に利用中)
- iPhone12(無印)+KINGONEスタイラスペン(最近検証のために使った)
どの機材を使うべきかは、以下によって変わってくると思います。
- 「PCスペック」と「どこでも描ける」どちらを優先したいか
- 今手元にある機器を使いたいか
iPadなどのタブレットも十分性能がいいのですが、やっぱりPCの方ができることは多いです。
PCの方が画面が広いので、お絵かきアプリの機能的な操作もしやすいですし、イラスト全体のバランスの把握もしやすいです。また、お絵かき以外にも書類やブログ作成なんかにも使えます。
わたしがiPadを購入した時は、ブログを運営していなかったので、迷った末に「どこでも描ける」を重視してiPadを購入しました。
PCとペンタブ両方を置くスペースも無かったんだよね
また、手持ちにiPadやPCがあるなら、まずはそれを利用して必要機材を買い足すのもいいと思います。
必用機材で値段の大部分を占めるのはiPadとPCなので。
※液タブも機種によっては高級品ですが、ほぼイラストや漫画にしか使えないので、続けるかわからないうちに高級品を購入するのはちょっと危険かなと思います(お金持ちを除く)。
各パターンのメリットデメリット
わたしはだいぶ不器用で、ペンを使いこなすまで時間のかかるタイプです。
不器用なわたしの独断と偏見で各パターンのメリットデメリットを挙げてみました。
パソコン+液晶タブレット
この組み合わせは唯一使ったことがないので、いきなりですが想像や予想が入ります。すみません。
メリット | デメリット |
---|---|
PCモニターでイラスト全体を確認できる 画面に直接描くので描きやすい(はず) PCのスペックにもよるが重い処理※も安心 描き始めると集中できる | 場所をとる パソコンの前に座るのが面倒 移動して描くのは難しそう エントリーモデル以外は値段高め |
ざっくり言うと、大きいサイズでレイヤーを百枚以上使ったり、ものすごく大きいサイズのブラシを使ったりなどの操作です。また、使ったことがないので体感したことはないですが、3D素材も重いみたいです。
予算と場所の確保ができれば、そしてPCの前に座るのが億劫でなければ一番快適にイラストを描けるのではないかと思います。
液タブの機種によっては、一部のAndroidスマホと接続できるものもあるようですが、わたしには未知の世界です。
処理能力はAndroidスマホに依存するのか…スマホの寿命縮まないのか…などの疑問はありますが、外出中に使いたい場合などは重宝するのかもしれません。
既にお絵かきアプリを使えるPCを持っているなら、液タブは安い物なら2万円台~あるので、最初は安いものから始めて、機能が足りなくなったら買い替えしてもいいのかなと思います。
なお、PC接続不要な液タブもありましたが、これは液タブというよりはAndroidタブレットの部類になると思います。iPadに近い感覚で好きな場所で描けそうです。
性能的にはiPad ProやiPad Airには及ばないけれど、コスパはいいという声が多いようです。
ただ、OSがAndroid12で、最新ではありません。
わたしはAndroidユーザーではないので詳しくないのですが、購入の際はそのあたりも考慮に入れておいた方がいいかもしれません。
パソコン+板タブレット
メリット | デメリット |
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画面が大きくて見やすい 描き始めると集中できる PCのスペックにもよるが重い処理も安心 線画以外はとてもやりやすい(わたしの場合) | パソコンの前に座るのが面倒 場所をとる 主線は描けなかった(わたしの場合) アナログの線画を取り込む必要があった(わたしの場合) |
デスクトップPCを使っていたこともあって、とにかく画面が見やすいのがとてもよかったです。イラスト全体を見やすいのでバランスがとりやすかった!
アプリは「ILLUST STADIO」と「CLIP STADIO PAINT PRO」を使っていて、とても多機能で使いやすかったのですが、大きい画面だったからこそ、どこにどの機能があるのかわかりやすく、使いこなすことができました。
「ILLUST STADIO」が販売終了して「CLIP STADIO PAINT PRO」になったんだよね
板タブも、現在は一部のAndroidスマホと接続して利用できるものがあるようですが、画面が小さいのでわたしだったらPC接続で利用します。
スマホでは綺麗に見えても、PC表示や印刷したら「あれ?」という出来映えの場合もあるので、作成中になるべく大きい状態でイラストを見ておきたいので。
デメリットは、わざわざパソコンの前に移動するのが面倒だったのと、主線を描くのが難しかったことです。
面倒くさがりではない人や、器用な人はデメリットにはならないね。板タブでも練習して主線を引けるようになる人も多いよ
板タブで主線が引けなくて困るのは、色塗りをした段階でデッサン狂いに気付いた時や、もう少し何か描き足したい時に修正が難しいことです。
板タブで主線が引ければ、コスパ最強の道具だと思います!
わたしは、2025年10月のWindows10サポート期限切れの兼ね合いでPC買い替えが必要です。iPadである程度まで仕上げて、新しいPC+安い板タブで最終仕上げするのもいいなぁと思っています。
今使っているPCはサブで購入したものなので、スペックが低すぎてお絵かきには使えないのです。
iPad +Apple Pencil(タブレット端末+スタイラスペン)
自分はiPadしか利用したことがないので、ほぼiPadでの使用感になります。
メリット | デメリット |
---|---|
画面に直接描くので描きやすい 思い立ったらすぐ絵を描ける 持ち運びが簡単 YouTubeや雑誌などを見るのにも使える | 画面が小さい 使用するペンによって使いやすさが変わる 充電切れのため作業が中断されることがある 文字入力しづらい |
使いやすさは使用するスタイラスペンによりますが、Apple Pencilを使えばびっくりするほど描きやすいです。不器用なわたしでも、主線を入れられる!
ただし、本気絵の時は、下絵はアナログで描いて写真で取り込んで仕上げる場合もあります。特に動物。
例えばこの狼のイラストを描くにも、こんな風に鉛筆で紙に描いた下絵をもとにして仕上げていきます。
絶望的に不器用なもので
Apple Pencilはアナログに近い描き心地ですが、本物の鉛筆やペンではないので、わたしのように下絵からすべてiPadで完成することができないレアケースもある(かもしれない)ので注意しましょう。
にっ、人間のイラストなら下絵からiPadで全部できることもあるからっ
はいはいたまにはね
下絵はアナログだとしても、消しゴムかけなくていいし、主線入れられるの本当便利だよ!色塗り後の修正も簡単にできるし!
また、面倒くさがりなわたしには、思い立ったら膝の上にでもiPadを置いて、すぐに描き始められるのがとてもメリットです!本当に面倒くさがりなので、iPadはいつもいる定位置から手を伸ばせば届くところに置いています。
余談ですが、うちのテレビではYouTubeが見られないので、2023~2024年の年末年始はとてもお世話になりました。
地味にデメリットなのは、文字入力がしづらいことです。
「イラストを描くのになぜ文字を?」と思うかもしれませんが、細かいイラストを描く時は膨大なレイヤーを使うので、レイヤーに名前をつけないとわけがわからなくなります。
文字入力の時は、キーボードほしいなぁと毎回思います。
iPad用のキーボードを買えるほど裕福ではないもので
結果、面倒なのでレイヤーに名前を入れずに進めてしまい、前に描いた絵のレイヤー構成が全く分からない状態になっています。
iPadのせいでなくズボラなせいでは
そして、最大のデメリットは画面が小さいこと。
使っているiPadは画面が大きい部類に入りますが、A4サイズの紙より少し小さいです。
- A4:(縦)29.7cm(横)21cm
- iPad:(縦)26.3cm(横)19.6 cm(画面表示部分の大きさ)
おかげで大好きな「CLIP STADIO PAINT」もアイコンが小さく、どれがどの機能なのかわかりづらく使っていません。ドケチでサブスク嫌いなので、操作をおぼえる気が起きなかったのが大きいかもですが。
※クリスタiPad版はサブスクしかありません。
デメリットはあるけど本当に描きやすいので買って後悔はなし!
これからiPadを購入するとすれば、慣れてくると大きいイラストも描きたくなってくると思うので、PCを併用しない場合は、サイズは12.9か13がおすすめです。PCを併用する、または、画風がシンプルな場合や漫画は描かないならワンサイズ小さくてもいいと思います。
Proは現在かなり高額なので、スペックは下がりますが、後々本気になっても性能が耐えられそうなAirがいいかなと思います。
あとから買い替えるより長く使いたい派(iPad高いし売るのも面倒)なもので、かたよった意見になってるかもだけど
安くて使いやすいものも探せばあるかもしれませんが、使っているうちに「Apple Pencilだったらもっと描きやすいかも…」と思う時がくると思います。iPadの場合、筆圧感知機能が搭載されているのもApple Pencilのみ。
ペン探しジプシーしてお金を使うよりは、高いけど最初からApple Pencilを購入した方が結果的にお得と思います。
Apple Pencilは対応機種が決まっているので注意しましょう。
Apple Pencil Pro | Apple Pencil (第2世代) | Apple Pencil (第1世代) |
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iPad Pro 13 インチ (M4) iPad Pro 11 インチ (M4) iPad Air 13 インチ (M2) iPad Air 11 インチ (M2) | iPad mini (第6世代) iPad Air (第4 、5世代) iPad Pro 12.9 インチ (第3、4、5、6世代) iPad Pro 11 インチ (第1、2、3、4 世代) | iPad mini (第5世代) iPad (第6、7、8、9世代) iPad (第10世代※) iPad Air (第3世代) iPad Pro 12.9 インチ (第 1 、2世代) iPad Pro 10.5 インチ iPad Pro 9.7 インチ |
Apple Pencil(USB-C)はお絵かき的に重要な筆圧感知機能がないのでお勧めはしません。
スマートフォン+スタイラスペン
メリット | デメリット |
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手軽 お金が一番かからない すぐに試せる | 画面が小さい 重い操作に向かない ペンの選択肢が少ない(たぶん) |
おそらくほとんどの人が持っているので、初めてお絵かきアプリを使う時に一番手を出しやすいと思います。
画面が小さくてイラストの全体像を把握しづらいですが、お試しでSNSやブログアイコンくらいの大きさを描いてお絵かきアプリの雰囲気をつかむのにはよさそうです。器用な人は指でも描けます(わたしはできませんが)。
無料アプリを使って指で描ければお金がかからない!(うらやましい)
ネックなのは、細かいイラスト作成に耐えられそうなスタイラスペンの選択肢が少ないことです(わたしの探し方が悪いだけ?)。
おすすめのお絵かきアプリ
自分が使いやすいと思ったアプリは以下です。
タブレット端末アプリ
1位:Procreate
iPad利用なら、アプリは「Procreate」おすすめ
「Procreate」は画面を最大限に利用できるアイコン配置(UI)になっているのと、なんでかわかりませんがとにかく描きやすいです。
有料ですが、買い切りで2,000円なのも嬉しいポイント。わたしが購入した時は1,220円でしたが、使いたおすなら2,000円でも安いです!
ただし、塗りつぶしの仕方が違ったり他のお絵かきアプリと操作がだいぶ違うので、好みがわかれるかもしれません。
また、「Procreate」は使用機種によって最大レイヤー数が決まっています。
わたしが利用しているiPad Pro(12.9インチ/第4世代)の場合、一番よく使うA4サイズ/350dpiは52枚までです。
意外とあっという間に上限まで達します。
ただ、細かいイラストは毎回最大レイヤー数まで使っていましたが、スムーズに操作はできていました。
現在発売されている機種は、性能が上がっています。Airでも、わたしの持っているProより最大レイヤー数がおそらく増えていると思います。
「CLIP STADIO PAINT」と比べると機能が少ないので、「MediBang Paint」も利用して補ってます
2位:MediBang Paint(無料版)
2位と3位はほぼ同率ですが、とりあえず自分が使うことの多い「MediBang Paint(メディバンペイント)」を挙げました。
広告を我慢すれば無料で利用できます。広告表示中は別のこと(ブログのチェックなど)をしているので、わたしはあまり気にならないです。
「MediBang Paint」はフォントに関して、クラウドテキスト利用であれば、商用利用可能なのがポイント高いです(フォントそのものを二次配布したり、無加工の状態でロゴなどの制作物の商標登録をするのは禁止なので注意してください)。
他のアプリは、「フォントについては、そのフォントの利用規約に従うように」となっていることが多いです。
自分で規約を調べるのが面倒なので助かります。
また、お絵かきとは違いますが、ブログを運営するにあたり、よく操作の説明記事で画面スクショに線や文字をいれて掲載するのですが、その処理がとてもやりやすいです。
3位:ibisPaint X(無料版)
「ibisPaint X(アイビスペイントX)」は、初心者の方でも使いやすい画面配置(UI)になっている上、機能も豊富です。
イラストを描くだけなら、「MediBang Paint」よりも描きやすいかもしれません。
ただ、自分にとっては「Procreate」が本当に使いやすいので、あまり出番がなく、この順位となりました。
パソコンアプリ
1位:CLIP STADIO PAINT PRO
実際に利用していたのは何年も前ですが、その頃ですら使いやすく、痒い所に手が届く機能満載でお気に入りでした。
今は足りない機能を補うために複数アプリを使っていますが、「CLIP STUDIO PAINT PRO
Adobeのアプリなんかもきっと高機能なんでしょうが、お値段が張るのでわたしには敷居が高いです。
ただ、機能が多いだけあって、最初は操作を覚えるのが大変かもしれません。
わたしは、描きたいモチーフや分からない操作があったら、(例えば水の描き方とか)都度調べて覚えていきました。
利用者が多く調べると答えが出てくるので、最初を乗り越えれば、お気に入りのアプリになると思います。
「CLIP STADIO PAINT」は「PRO」と「EX」があります。
- イラスト制作だけなら「CLIP STUDIO PAINT PRO
」でOK。 - 漫画やアニメも制作したいなら「CLIP STUDIO PAINT EX
」です。
最初「PRO」を購入し、後から「EX」にアップグレードすることもできます。
「CLIP STADIO PAINT」のPC版はプランがたくさんあってややこしいですが、大きく分けるとサブスクで使うか買い切りで使うかです。
- サブスク(1デバイスプラン)
常に最新機能を利用できる
PRO:480円/月、3,000円/年
EX:980円/月、8,300円/年
※他に複数デバイス用のプランもあり - 無期限版(買い切り版)
Ver.3.0の発売時点で搭載されている機能が無期限で利用可能
PRO:5,900円
EX:24,900円 - アップデートプラン(年額払い)
無期限版購入者が、追加された新機能も利用したい場合申し込む
PRO:1,200円/年
EX:3,400円/年
自分だったら「ILLUST STADIO」時代の機能ですら大満足だったので、よっぽど気になる新機能がない限りは「買い切り」にしちゃう
2位:MediBang Paint(無料版)
わたしの中では、PCで使うなら「CLIP STADIO PAINT」一択ですが、有料アプリは嫌、もしくは最初は無料から始めたいという場合は「MediBang Paint」を利用するといいと思います。
「CLIP STADIO PAINT」ほど機能は充実していませんが、お絵かきは十分できると思います。
「MediBang Paint」を使って、ものたりなくなったら「CLIP STADIO PAINT」に移行でもいいかも
ちなみに、アイビスペイントWindows版は有料です。どうせお金を払うなら「CLIP STADIO PAINT」がおすすめです。
- サブスク:月額300円/年額2,950円
- 買い切り:4,800円
まとめ:機材は高いので慎重に選ぼう
この記事では、イラストを描くための機材とアプリについて説明しました。
不器用なわたしとしては、金額が問題にならないなら、「iPad+Apple Pencil」または「パソコン+液タブ」の組み合わせが描きやすいと思います。
iPadはどこでも描けるから本当に重宝してるよ
でもパソコンでの操作も捨てがたいんだよね
結局お金があればすべて解決…お金さえあれば
この記事が少しでもお役に立てると嬉しいです。